Enohaのブログ

Enoha(えのは)のブログです。

突然、心の中で文字が読めなくなった。

「存在しない病気」になった時の話を、良ければ聞いて欲しい。

それは、ある時、突然、「心の中で言葉を発音することが出来なくなる」というものだった。

人は黙読するとき、心の中で言葉を発音する、という状態で文字を読んでいるが、それが全く出来なくなったのだ。

その日、その瞬間まで、普通に小説やゲームのテキストを読んでいたのが、急に、口で発音しなければ続きを読み進められなくなった。

その日は、疲れているだけと思い、気にはならなかったが、翌日、また翌日とこの現象を重ねる内に、病気を次第に疑い初めた。

すぐにネットで検索した。

が、何の情報も、可能性も、得られなかった。

それからは、毎日が地獄のようだった。
小説も、テレビのテロップも、漫画の吹き出しも、その効果音さえも、
何もかも、文字が読めない。
声に出さなければ、読み進まない。

幸い、「思考」することは出来ていた。
しかし、いずれそれすらも出来なくなることが恐ろしかった。
心から音が消えることが、怖かった。

私はこの現象の原因を考えた。

「病気」でないのだとすれば、これは一体、何なのか?

「悪癖」であると、私は思うようになった。
最初にこの現象が現れた日、私は疲れていた。
故に、その時の、「文字が読めない状態」の読み方を、無意識の内に、今もなお繰り返しているのではないか?
と思ったのだ。

そう感じた、次の瞬間、私は、治る予感がした。

治ることは、しかし無かった。

「存在しない病気」に苦しめられることは、
可能なのか。

それから、半年が経った。

(長くなったので、次回に続きます。)